年間約8万本市場!蛍光灯タイプLEDランプ
1.3種3様のメリットデメリット
- 内臓型(交流直結型)
- 外付け型(外装型)
- 工事不要型
●内臓型(交流直結型)
チューブの中に電源回路も組み込んだ「内臓型」と呼ばれるものです。
利点としては、AC電源をピンに直結させるだけなので工事の手間が省けること。また、外付け型の専用トランスが入らないような照明器具にも設置できる事が挙げられます。
しかし、あくまで工事コストという設置時のメリットであり、スペースの関係でノイズフィルター部品が入れられないなど、内蔵型には多くの懸念材料があります。
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●外付け型(外装型)
従来の蛍光灯の安定器のように、電源をチューブの外側に設置するタイプです。
内蔵型に比べ電源回路のレイアウトの自由度が高く、電子部品の実装が適切な形で行われるため、放熱をチューブと電源部分とそれぞれ効率的に行うことができ、安定性が最も高いタイプです。
このタイプが蛍光灯タイプのLED 照明では、今後主流となるタイプと言われている型の1つです。
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●工事不要型(ポン付け型)
工事不要タイプは、現状蛍光灯の安定器が300種類以上存在し、そのすべてで点灯試験を行ったものでなければ、安心できません。
日本国内で300種類すべての安定器でテストを行った製品を見たことがありますが、非常に高価になり、ビジネスとして成り立ちません。
なによりも価格が高いために、導入しても初期費用を償却するのに 10 年以上必要になり、製品寿命以上の年月がかかり、現状はまだまだ実用的ではないようです。
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2.内蔵型の懸念材料
●放熱
長寿命、高発光効率、低発熱量、高速応答、耐衝撃性、小型軽量、耐環境性などの優位点があるLEDですが、これを妨げる要因として一番注意しなければならないものが「熱」です。
理論上では周辺温度が-20℃であれば永久に点灯し続けるという話もあります。逆にLED自体の温度が80℃以上になると急激に寿命が落ちてしまいます。
LEDと従来照明との相違点は、LEDは電力を変換する場合に、光以外は熱に変わるということです。
つまり、発光効率=放熱効率と言えるでしょう。
●不十分なレイアウトスペース
下の2つの写真は、左の写真の外付け型と、右の写真の内臓型の電源部分の比較写真ですが、明らかに異なるのは、部品間のスペース、部品の数量・種類・サイズです。
●電波障害の可能性
基本的にスイッチング電源を使用する場合には、多少のEMI(電磁気妨害)が発生します。
日本向けの電源回路であれば、設計の段階からノイズ対策がされています(PSE法で規制されている)。中国で設計された電源回路に関しては、ノイズ対策の設計がされてない製品がほとんどであるとも言われています。
内蔵型の場合には、ノイズフィルターのための部品が組み込むスペースを確保できず、EMI を垂れ流す結果となります 。
●はんだ接着不備
右の写真はある内蔵型ですが、LED基板の裏側に電源回路を配置していますが、この部品類は本来基板の穴に端子(足)を差込みはんだづけを行うのが適切な実装方法なのですが、チューブの中に配置するために不適切と思われる実装処理をしています。
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また、この右の内蔵型の写真では、足部分を折り曲げてあるものもあり、この場合には、基板や他の部品と本体部分が近いために、短絡(ショート)モードの不備が起こったケースもあります。
●熱応力
内蔵型の場合、写真のように、LED基板と放熱板と電源回路基板の3つを接着している製品があります。
これらの3種の部材は熱応力が異なるため、分解してみると、写真のように自然に反り返ってしまいます。
熱による膨張・収縮を抑制しようとして作用する力によって、接着部分が剥がれたり、いずれかの部材に亀裂が入ったりといった不備が起こる可能性があります。
ある照明メーカーのM社の内蔵型は、発熱を抑える仕組みがあるためか放熱板がなく、LED基板と電源基板をひとつにすることで、この熱応力による不備を抑制しているといいます。