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10月
30

PMS・PMDDとは~ちょっと詳しく

Posted under PMSとは~ちょっと詳しく

PMS(月経前緊張症候群)とは何ぞや、という簡単な説明は以前したかと思いますが、ちょっと詳しく(医学的な認識も絡めて)お伝えしてみます。

・月経の前って具体的にどれぐらいの時期を指して言うの?
大体排卵後~月経前までの1~2週間ぐらいに症状が出るようです。

・PMSの症状にはどんなものがあるの?
「具合が悪い(いわゆる不定愁訴ですね)」「頭が痛い」「イライラする」「訳もなく悲しくなる」「ほてり」「むくみ」「ニキビ」「食欲が増える」などなど、確認されただけでも200を超えます。また、個人差が激しかったり、その時により出てくる症状が違うという人もいたりします。

・私、本当にPMSなのかしら?
一応医学的には、2000年にアメリカで以下の診断基準が目安として定められています(ACOG practice bulletin 2000)。

1 過去3回月経周期において、月経前5日間に以下の身体または精神症状の少なくともひとつが存在する。

  • 胸が張って痛い
  • お腹が張る
  • 頭が痛い
  • 手足がむくむ
  • 抑鬱
  • 怒りの爆発
  • 不安
  • 混乱
  • 引きこもり

2 これらの症状は月経開始後4日以内に軽快し、13日目(大体生理が終わって一週間~10日後くらいの排卵後にあたる)まで再発しない。
3 これらの症状は薬物療法、ホルモン内服、薬物あるいはアルコール使用によるものではない。
4 症状は前方視的記録によって再現している。(基礎体温表などの記録、日記など)
5 社会的あるいは経済的能力のはっきりした障害が認められる(会社に行きたくない、家事がめんどくさいなど)。

ただ、症状例は先ほども述べましたが200くらいあるとのことですので、ともかく決まった周期で身体的・精神的不調が見受けられる方は、まず基礎体温表をつけてみてください。
※こちらの無料ソフトを使うと、簡単に周期を計れます。[Easy OGINON]

・精神的に不安定なだけだからPMSじゃなくてただの情緒不安定でしょ?月経関係ないよね?
月経前だけ、だったらPMSの可能性があります。
また、月経前に精神的な症状が特に症状がひどければ、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性があります。
目安として、医学的な診断基準を挙げておきます。

A 以下に掲げる4つの特異的症状(*)のうち最低ひとつを含み、そのほか抑うつ状態、不安、認知あるいは身体症状11のうち5つの症状を呈するもの。
最近数年間ほとんどの月経周期におこり、月経開始前1週間より始まり、月経開始数日以内に消失するものである。
<うつ状態、不安、認知、身体症状>

  • 著明なうつ状態、絶望感、自己非難*
  • 自己拒絶に対する感受性の上昇を伴う急な悲しみや落涙*
  • 日常活動に対する興味の低下
  • 不活発、疲労感、エネルギー低下
  • 著明な嗜好の変化、ある食物に対する偏り
  • 無臭あるいは臭覚過敏
  • 著明な不安、緊張感、どうにもならないという感覚、がけっぷちに立たされている感覚*
  • 持続的著明な感情過敏、怒り、自己葛藤の増加*
  • 限界感あるいは自己調節喪失感
  • 集中力の欠如
  • 乳房痛あるいは緊満感
  • 頭痛
  • 関節あるいは筋肉痛
  • 体重増加
  • 浮遊感

B 症状は社会的活動、職業、性生活、学校での生活上支障をきたすもの
C 症状は月経周期と緊密に関係し、もともとあったうつ状態、不安、人格障害の悪化によるものでないもの
D 基準A,B,Cは少なくとも2ヶ月間の前視方的記録によって確認されていること

はっきりとした理由のない情緒不安定は「なぜこんなに怒ってしまうのだろう」「なんでこんなに感情的になってしまうのだろう」と、自己嫌悪に陥りがちです。これでは悪循環になってしまいますので、何らかの対処をしたほうがよいでしょう。これも、基礎体温表や記録をつけてみて確認してみてください。

・PMSって特殊な何か?
日清製油の調査によると、20代~30代の女性でPMSの症状が気になる人は全体の6割でした。また、日本にはPMSの患者が約1000万人いるという推計もあります。先ほど「疾患」「患者」という言葉を使いました。その通り、PMSやPMDDは一種の病気です。ただし、病気といっても先ほどの推計が示すとおり、何ら特別なものではありません。ですから、そこまで深刻に思い悩む必要はありません。

 ちなみに、検索エンジンで「PMS」や「PMDD」で検索すると、個人ブログや英語のサイトはよく引っかかるのですけど、婦人科のページが殆ど引っかかってこないという驚き。治療は一応行われているのに認知度は当事者とその周囲にしかないということの表れだったら、少し悲しいですね。